【体外受精の採卵】無麻酔で卵巣に何度も針を刺されている時に思うこと
※体に針を刺す話です。苦手な方はスルーしてください。
我が家の子供はふたりとも、体外受精で授かりました。
不妊治療の中でも、体外受精はとくに身体的にも精神的にも経済的にもきついと言われています。
まず最初に体験する辛いことは、採卵です。
採卵とは
注射針を卵巣に刺して、卵巣内の卵胞を吸い取ります。
採卵するまでも、何本も注射を打つ
いつでも好きな時に採卵できるわけではありません。
成熟した卵子をベストなタイミングで採卵するために、数日前から連日の様にホルモン値を検査します。
ホルモン値の検査をする方法は、採血です。
つまり連日の様に腕に注射をするのです。
この時点で、注射嫌いの人にとっては辛い話です。
無麻酔で卵巣に針を刺す
麻酔無しで、内臓に針を刺すのです。男性なら、睾丸に何度も針を刺すイメージでしょうか。(ちょっと違う?)
私が行っていたクリニックの院長は、「薬と書いて毒と読んでください。」と言う方でした。
薬は最低限しか使わない主義で、通院中は全てのサプリメントを摂るのも禁止です。(これは、ホルモン値に影響して正確な体の状態が分からなくなる、という理由もあるそうです。)
「もしどうしてもサプリを飲みたい人は、他クリニックへ行って下さい」とはっきり言われます。
そのため、手術の麻酔も基本無しです。
もちろん痛くて耐えられず施術に支障がある人は、手術中に麻酔をしてくれるらしいですよ。
他のクリニックでは麻酔を使うところが多いのに、どうしてそんなに無麻酔にこだわるのかは、謎です。
きっと麻酔を打たない方がいい医学的な理由があるんだ、と信じるしかありません。
採卵当日、手術前に味わう恐怖
手術当日は、手術着に着替えてカーテンで仕切られた個室で待機します。
端の人から順番に呼ばれて手術室へ。15分くらいしたら手術は終わるので戻ってきます。
そして次の人、という流れです。
仕切りがカーテンなので、周りの声が丸聞こえです。手術後の人と看護師さんが話している会話もよく聞こえます。
- 話す余裕がないほど無言の人
- 歩けなくて車椅子に乗って手術室から出てくる人
- 痛い痛いと連呼してる人
- すり足で歩いてる人
そんな様子がカーテン越しに聞こえてくる中、自分の番を待つのです。
逃げ出したくなりました。
痛みを抑える唯一の方法
控室にいる時、看護師さんから手術中の注意事項が書かれたパンフレットを受け取りました。
じっくり読みました。
危険だからしてはいけない事の欄に、こんなことが書かれてありました。
体を動かさない
声を出さない
深呼吸をしない(お腹が動くから)
え、、、どういうこと?
普通、痛いと体を動かしたくなるし、深呼吸したいし、痛いと言いたいですよね。
そして、痛みを和らげる方法の欄には、
リラックスして力を抜くこと
と書かれてありました。
痛みに耐えながら、リラックスする。そんな人間離れした事ができるのでしょうか。
私の恐怖心は凄いことになっていました。
手術室の様子
手術室の中に入ると、それまでの優しかった看護師さん達はおらず、ものすごい緊張感。
手術室内の看護師さんは軍隊のようでした。
まず、モニターに書かれた自分の名前と生年月日を言うのですが、
「もっと大きな声で!やり直し!」と叫ぶ様に言われ、
手術台に着いてからも、足の位置や体の向きなんかを柔らかくない口調で指示されます。
なぜか、この緊張感を感じて腹がくくれました。
もうやるしかない、と。
採卵中の痛み
まさに針山。
何度も、ブスッ、ブスッと針を刺されます。
その度にツーンとドーンという両方の痛みがきます。
痛みの表現って難しいですが、ツーンはインフルエンザの予防接種の様な筋肉注射を、もっと奥まで刺されている痛み。
ドーンは、寝ている時に、不意打ちでお腹の上に分厚い辞書を落とされた時の痛み。
それが、10回くらい繰り返されるのです。
卵巣に針をブスブス刺されながら考えていた事
無でした。
何かを考える余裕はありません。ただ耐えるのみ。
でも段々とこの状況が滑稽に思えてきて、ちょっと笑いそうになりました。
多分、何かを超えた瞬間だったのかもしれません。
手術後
看護師さんから、「痛みに強いのですね」とお褒めの言葉か何なのか、言われました。
異様な緊張感から解かれた後は、ナチュラルハイになっていました。
さいごに
ただ、採卵が怖くて痛かったというだけの話をお読みいただき、ありがとうございました。
体外受精の治療では、少し現実生活とは離れた体験をします。
次回の体外受精での体験は、夫の精子の画像を見ながら、「これもダメ、これもダメ、全部ダメだわー」と先生に言われた時の事を書いてみたいと思います。
また、不妊の知識についても、もっと早くから知っておいたほうがいいです。
性教育にも繋がるのかなと思います。