夫がうつ病になってから今までの生活
夫がうつ病と診断されてから、3年になります。
最近、うつ病の人が増えているそうですね。
コロナが流行り始めて、精神科や心療内科の患者数が増えているというニュースも観ました。
それにマタニティブルーや産後うつになる男性も結構多いそうです。
この記事では、うつ病の夫との生活や、私が感じる事などを書いてみます。
- うつは、脳の病気でもある?
- うつのチェックリスト
- 後から思えばうつの入り口だったと思う変化
- 駅のホームに飛び込みそうになって、初めて受診
- 症状が悪化した時の生活
- 経済的な不安も負担に
- 誤診?正確な診断と薬の大切さ
- 双極性障害かもしれないと思ったときの病院選び
- 症状のパターンを知ると余裕ができる
- 家族の接し方
- 相談する場所
- 子供への影響
- 鬱になったのは親のせい?
- さいごに
我が家の場合の一例ですが、何か参考になったら嬉しいです。
うつは、脳の病気でもある?
うつ病の人に対して、こんなイメージがありませんか?
- やる気がない
- 頑張ろうとしない
- ダラダラしている
- 精神的に弱い
- 自分で気分のコントロールをしようとしない
しっかりしてと言いたくなるイメージです。
でもうつ病って心だけでなく脳の病気でもあるそうです。
うつ病は心の病と思われがちですが、じつは脳の病気でもあります。心理的なストレスとは、過労や対人関係のトラブル、離婚や死別といった生活上の問題が原因となるストレスですが、そうした心理的なストレスがきっかけとなり、そのストレスで脳の働きのバランスが崩れることで、うつ病が発症すると考えられています。
引用:NHK
夫がうつ病になってから、うつ病の家族を持つ人のための講座を受けて、少しだけ勉強しました。
脳の中の神経細胞の伝達がうまくいっていない部分があるらしく、気分的な問題ではなくて本人もコントロールできない事なんだと知りました。
それから、夫の言動に対して少し離れたところから見れるようになりました。
うつのチェックリスト
以前、私が参加した家族のためのうつ病講座でもらった資料を添付します。
隠れうつの危険度チェックリストと、うつ病の家族を持つ人のストレスポイントです。
ストレスから家族もうつ病になるケースがあるそうです。
だから時々自分の状態をチェックするのもいいかなと思います。
後から思えばうつの入り口だったと思う変化
夫の場合は、病院を受診する3ヶ月前くらいから、こんな変化がありました。
- お財布や携帯を頻繁に忘れる
- 会議の時間を間違える
- 空港(羽田と成田)の場所を間違える
- 玄関の鍵を刺したままのことが増える
- 頻繁に放心状態になる
- 「水が苦い」と言いだす
- 家の中で無くし物をする
不注意と言われるミスが増えました。
普段、持ち物や日程を忘れたり間違えることがほとんど無かったので、おかしいなと思いました。
それに年に何十回も飛行機に乗っていたのに、空港を間違えた時はびっくりしました。
駅のホームに飛び込みそうになって、初めて受診
何度も「病院に行ってみて」と勧めましたが、「大丈夫。時間ないし。」と言って受診してくれませんでした。
でもある朝、こんな経験をしたそうです。
駅のホームに立っていると、無意識に足が勝手に線路の方に歩いて行く。
頭がボーッとしていて、何も考えられない。
駅員さんに「大丈夫ですか?」と肩を掴まれて目が覚める。
死のうと思った事は全く無いらしく、自分ではコントロールできないよく分からない感覚だったみたいです。
本人もやっと自分が変だなと気づいて、受診しました。重度のうつ病と診断されて、翌日から即休職になりました。
この話を聞いて、月曜日や連休明けの朝に電車の人身事故が多い事を思い出しました。
もしかしたら、故意に線路に飛び込んでいるわけじゃ無い人もいるかもしれないですね。
うつ病って、よくある病気だしあまり深刻に考えていませんでしたが、この話を聞いてゾッとしました。
症状が悪化した時の生活
初めは、物忘れとかちょっとしたミス程度でしたが、徐々にこんな症状が出始めました。
- 常にイライラしている
- 私の発言を全て「自分は否定されている」と受け取る
- 被害妄想がひどい
- キレる
- 笑わなくなる
- 子供を無視する
- 無心になって食べる
- 朝起きれなくなる
- 仕事に行けなくなる
薬を飲んでいるのに全然良くならず、本人も症状が悪化して辛そうでした。
私もこの生活が続くのはきついと思って、こんな事をしました。
- 保健所に相談する
- 保健師さんのカウンセリングを受ける
- うつ病の家族講座を受ける
- 親しい友達に状況を話す
この時期は、夫が私を叩いたり蹴ったりする事もありました。
怪我をする程ではありませんでしたが、その事について保健師さんに相談したところ、こんなアドバイスをもらいました。
ご主人は通常の状態じゃないと思ってください。だから、「大丈夫」と思わない事。何があるか分からないから、まずお子さんを守るために次手をあげる事があったら、躊躇せずすぐ110番してください。第三者が入る事で、ご主人も気づく部分があると思います。
実際に、警察に連絡したことがあります。その後は、叩いたり蹴ったりする事はなくなりました。
まず保健所に連絡して、うつ病の知識がある保健師さんと話せたのは大きかったと思います。
症状が悪化して、どうしようもなくなっている状態の時の事は、こちらの記事でも書いています。
経済的な不安も負担に
うつになってから転職を繰り返しています。
だから、この3年で失業期間も結構ありました。
収入が減ったり、収入無しの月もあります。
この経済的な不安は、かなり本人に負担があった様子でした。
体は休もうとしているのに、早く仕事を始めないといけないというプレッシャーは、辛いと思います。
少しでも負担が軽くなるよう、私は家でできる事を始めました。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
誤診?正確な診断と薬の大切さ
うつ病の薬についても講座で教えてもらいました。
当時夫が飲んでいたのは、10種類の薬です。
10年以上前くらいまでは数多く薬を処方していたそうですが、今は見直されて処方される薬は3種類くらいまでだそうです。
つまり、夫が通っていた病院は昔のままの治療方法を続けているクリニックだったみたいです。
それを知って病院を変えたところ、薬は2種類のみで診断結果は双極性障害(躁うつ病)でした。
その後、嘘のように症状が軽くなりました。
うつ病と躁うつ病の診断は、難しい部分もあるそうです。
- うつ病と診断された人の10人に1人が躁うつ病
- 躁うつ病は、長いうつ状態と短い躁状態を繰り返す
- うつ病と躁うつ病は薬や治療目標が異なる
躁うつ病の時は、うつ症状の合間にこんな様子の時期があるそうです。
- 睡眠時間が短くても頑張れた
- 良いアイディアが次々浮かぶ
- 仕事がバリバリ出来る
- 自信を持って、話すことができる
- でも何だかイライラして腹が立つことがある (引用元:日本うつ病学会双極性障害委員会)
もし思い当たる部分があれば、それを主治医に伝えるのが大切だそうですよ。
双極性障害かもしれないと思ったときの病院選び
躁うつ病(双極性障害)の病院選びについても、講座内で教えてもらいました。
- 双極性障害の専門は精神科医
- 心療内科医や神経内科医は双極性障害の専門外
- 入院が必要かもと思ったら、はじめから入院できる病院を選ぶ事
<病院や医師を選ぶ時に参考になるサイト>
病院の検索には・・・研修施設名検索:公益社団法人 日本精神神経学会
経験が豊富な医師の検索(指導医)・・・専門医・指導医検索:公益社団法人 日本精神神経学会
「もしかしたら双極性障害かも」と思ったら、日本精神神経学会に登録されている指導医の先生がいる病院を選ぶと安心できますね。
症状のパターンを知ると余裕ができる
うつ病も躁うつ病も、治ってきたかな?と思ってもまた悪化したりと、一進一退を繰り返しながら良くなっていく病気だそうです。
それぞれのパターンを知る事で心構えができるので、少し気持ちの余裕もできます。
夫の場合、「朝起きてこない」のがうつ状態の始まりのサインです。
その後、2週間くらいは寝込みます。そしてイライラ期が続き、しばらくすると必要以上に活動的になったりネットショップで色んなものを買い込む時期が来ます。その後、またイライラ期が来て、寝込むの繰り返しです。
家族の接し方
家族の接し方は、夫がうつ病になってから私が一番知りたかった事でした。
家族講座で配布された、NPO法人MDA-JAPANの保健師山口律子さんの資料を添付します。
また、家族がどんな声の掛け方や接し方をするかも大切だそうです。
- 怒りの感情をストレートにぶつける
- 過去の傷つけられた思い出を持ち出す
- 優しく接することができない
- 自分の気持ちを言葉にしない
- 精神的なことを心配する声掛け
- 「頑張って」などの励ましの言葉
- 気晴らしに旅行や外出に連れ出そうとする
- 頻繁に「大丈夫?」と声掛け
- 適度な距離を保つ
- 「頭痛くない?」「寝れてる?」など体の症状についての声掛け
- 非常識な要求は拒否する勇気を持つ
- あたたかく無関心でいること
- 大人の対応をすること
- 大事なのは共感性と受容性
私は怒りやイライラの感情が出てきた時、「共感性と受容性」と言い聞かせながらちょっと離れたところから見るように気をつけています。 本人も辛いのでしょうけど、私の方も精神修行をしているように感じます。そのうち、悟りを開くかもしれませんね。
でもあまり考えすぎると家族の方が苦しくなってくると思うので、外に相談する場所を見つけておくのが良いのかなと思います。
相談する場所
私は保健所以外に相談したことはありませんが、他にもあります。
相談できる場所がこちらです。
- 各地域の保健所や役所
地域によって違うかもしれませんが、私は保健師さんの紹介で、保健所が提携している精神科医の先生と1時間だけ無料で面談する機会を頂けました。
子供への影響
主人の場合は、子供に怒鳴ったりする事はありませんが、私にはイライラをぶつける時に大声で怒鳴ります。
子供に直接ではなくても、そういう場面を見せるだけで子供への虐待になります。
だから、子供への影響はすごく心配しています。
子供のケアをするために、PCITという親子相互交流療法というプログラムを受けています。
PCITについての詳細は、こちらに書いています。
鬱になったのは親のせい?
双極性障害と診断されて症状が落ち着いた頃、夫がよく自分の子供時代や両親との関係について話すようになりました。
「自分がうつになったのは、母の育て方にも原因がある。だから、自分の子供は絶対そんな育て方しない。」と言っていました。
子供ができると、自然と自分の親との関係や自分自身の育てられ方などを考えるようになりますよね。
それにプラスうつになった事で、親に対してイライラを募らせている様子でした。
私から見ると、主人の母は過干渉で常に見返りを求めているところがありますが、孫や子供の事が大切で心配だからこその過干渉なのだろうと思います。
そして自分の事も大切にして欲しいという気持ちを素直に伝えているから、見返りを求めているように思われるだけな気がします。
あまり良くないかもしれませんが、私は夫の気持ちを雑談の中で義父に伝えてみた事があります。
- 夫は両親の育て方が間違っていたと思っている事
- 自分の子供は正反対に育てたい事
- だから子育てについて口出しされるとイラつく事
- 自分たちの子育てが完璧とは思っていない
- でも全てが間違ってるわけじゃないと思う
- できる範囲で精一杯やってきた
義父との会話をそのまま夫に伝えてみました。
夫は両親と面と向かってそういう話をする事は避けていたので、真剣に聞いている様子でした。
その後、両親を否定する言葉は少なくなって、今はイライラもしないみたいです。
さいごに
躁うつ病と診断される前の最悪な時期に比べたら、ずっと良くなりました。 でもなかなか完全に回復はしていない様子で、まだまだ時間がかかるのだと思います。
精神科とか心療内科って、縁がない人は行きづらいと思いますが、ちょっと変だなと思ったら早めに受診した方が良さそうです。
今は、オンライン診療している精神科もありますよ。
家庭内の問題って「人に知られたくない」とか「大したことない」って思って助けを求めない人もいるんじゃないでしょうか。でも専門家の人にとりあえず軽い気持ちで話してみるだけで、何か違うかもしれません。
さいごまでお読みいただきありがとうございました♬